かからん団子調査
調査のきっかけ
屋久島には、サツマサンキライ/サルトリイバラ※という丸い葉っぱに包まれたよもぎ団子があります。地元の人がその葉っぱを「かから」と呼ぶことから「かからん団子」という名前がつきました。福岡には、かからん団子の葉と同じサルトリイバラ/サツマサンキライを使った「がめの葉餅」というお餅があるのですが、その中味は白餅にあんこが入っているものです。また、それを「柏餅」と呼ぶところもあるそうです。
サルトリイバラ/サツマサンキライに包まれたかからん団子、同じ葉っぱに包まれたがめの葉餅、そして、柏餅。これらのお餅は葉っぱや中味は少しずつ違うけれど、もしかすると何か共通することがあるのではないか?という疑問点から『かからん団子調査』が始まりました。
※サツマサンキライとサルトリイバラはどちらもユリ科で、葉は同じような形をしています。でも、葉の裏がサルトリイバラの方は白っぽく、サツマサンキライの方は緑がかっています。屋久島では、サツマサンキライの方が低地に多いので、かからん団子にもサツマサンキライが多く使われていると考えています。
かからん団子
サツマサンキライ
調査結果
五月五日の端午の節句のお馴染みとなっている柏餅。ここで少し、柏餅についてお話します。
端午の節句は、奈良時代頃から始まり、当時は、季節の変わり目のこの時期に病気や災厄を避ける為の行事として行われていました。薬草摘みや菖蒲(しょうぶ)を浸したお酒を飲んだり、悪鬼退治の為に馬から弓を射る儀式もあったそうです。
それが江戸時代以降、武士の間で盛んになり、次第に男の子の節句として行われるようになりました。そして、柏餅もその頃から端午の節句で用いられるようになりました。
なぜ柏餅が用いられるようになったのか?それは、柏の木の古い葉は新芽が育つまで落ちない(枯れた葉がいつまでも枝に残る)ので子孫繁栄の縁起の良い葉とされたことや、元々柏の葉は古代から食器として用いられていたこと、また、柏の葉の薬効などの理由があったからです。
柏餅は本来、柏の葉っぱで包まれた白餅で、中にあんこが入っています。ところが、上記したように、柏の葉ではなくサルトリイバラ/サツマサンキライの葉を使った「柏餅」も各地で見られます。そして、それは特に西日本で多いようです。
その背景には、柏の木の分布が大きく関係しています。柏の木は、関東~東北、北海道で多い植物なので、関西以南では、代わりにサルトリイバラ/サツマサンキライを使うようになったのだと思われます。そして、それをそのまま「柏餅」と呼ぶところもあり、各地の呼び名で呼ぶところもあるのです。
かからん団子は、本州の柏餅とはだいぶかけ離れた名称・形ですが、もしかすると、これも元をたどると柏餅なのかもしれません。しかし、サルトリイバラ/サツマサンキライを使うお餅に関する歴史的背景が未だわかっていないので、確定は出来ていません。
あなたもかからん団子調査隊員に
お餅の地域別での呼び名・種類は、県の中でも市や町、さらには家庭によって異なると思います。そこで、あなたの地域での柏餅、あるいはサルトリイバラの葉を使ったお餅はどういったものかを教えて下さい。また、そのお餅の背景や作り方、材料などの情報もお待ちしています。
地名 | 呼び名 |
種類 |
北海道 | 柏餅 | 柏+白餅/あんこ |
宮城 | 柏餅 | 柏+白餅/あんこ |
山形 | 柏餅 | 柏+白餅/あんこ |
新潟 | 笹団子 | 笹+よもぎ団子/あんこ |
富山 | 柏餅 | 柏+白餅/あんこ |
長野 | 朴葉巻き | 朴の葉+白餅/あんこ |
東京 | 柏餅 /いばら餅-青梅市小山製菓 | 柏+白餅/あんこ |
愛知 | しば餅 | サルトリイバラ+白餅/あんこ |
滋賀 | がらたて | サルトリイバラ+白餅/あんこ |
三重 | いばら餅/いばら団子/おさすり | サルトリイバラ+白餅/あんこ |
京都 | 柏餅 | 柏+白餅/あんこ |
兵庫 | いびつ餅/はもち | サルトリイバラ+白餅/あんこ |
鳥取 | しば餅 | しょうがの葉+白餅/あんこ |
岡山 | しば餅 | しょうがの葉+白餅/あんこ |
広島 | 柏餅/しば餅 | サルトリイバラ+白餅/あんこ |
島根 | かたら餅/かたら巻き | サルトリイバラ+白餅/あんこ |
香川 | しば餅 | サルトリイバラ+白餅/あんこ |
愛媛 | 柏餅 | サルトリイバラ+白餅/あんこorよもぎ餅/あんこ |
福岡 | がめの葉餅 | サルトリイバラ+白餅/あんこ |
鹿児島 | かからん団子 | サルトリイバラ+よもぎ団子orあんこ団子 |
種子島 | かからんだご | サルトリイバラ+白餅/あんこ |
屋久島 | かからん団子 | サルトリイバラ+よもぎ団子 |
このかからん団子調査を見て、実際に味を試してみたくなった方に。
屋久島の安房にある杉の茶屋さんの通信販売をご紹介します。杉の茶屋さんは、無農薬、無添加の食材を使った食品や、石けん製品や省エネ商品、マイ箸、マイバッグなど、様々なエコロジー・コンセプトのある製品を販売されているお店です。
かからん団子は1個120円で、保存のため、蒸す前の冷凍状態で届けられます。(蒸し方や保存方法を書いたしおりも一緒に届けられます。)
よもぎがたっぷり入ったかからん団子、是非一度お試しください。