屋久島自然情報_10月

屋久島は、とても自然のバリエーションの豊かなところです。
その自然の表情を折に触れてお伝えいたします。


ここ数年の月別屋久島自然情報がわかります。
屋久島へお越しの方は、来島月をクリックしてご参考になさってください。

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10月の自然情報

ハナヤマツルリンドウ

ハナヤマツルリンドウ

10月に入り、ツアーの休憩や食事などで止まると体が冷えてきて、秋を体で実感する様になってきました。


この季節、宮之浦岳の登山道を歩いているとヤクザサからヒョッと顔を出して咲いている花がハナヤマツルリンドウです。名前の由来は花山歩道で見つかったことから、その名が来ています。別名ハゴロモツルリンドウとも呼ばれ、屋久島の固有種でもあります。


花期は9~11月でラッパの様な可愛い花で見つけると、ついついカメラを向けてしまいます。是非ヤクザサを覗いて、淡い青紫色したハナヤマツルリンドウを探してみてください。

'13/10/2update
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シロノセンダングサ

シロノセンダングサ

海岸や低地の道路脇に普通に見られるシロノセンダングサ。日本に幕末の時代、渡来した帰化植物で近年都会の雑草として急激に分布を拡げいるとのことです。


一年中、白い花が咲いている多年草ですが、見頃は10月だそうです。


種子が衣服に付き、ひっつき虫として知られ、嫌われてる方も多いのではないでしょうか?


しかし、しばしば純白の綺麗な花が群落を作り、見ている側は圧巻です。

'12/10/25update
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ザトウムシ

ザトウムシ(座頭虫)

登山道を歩いていると、たまに足元に細長い脚のクモに似た生物を見かけることがあります。一瞬クモにも見えますが、これがザトウムシです。


実際、クモの仲間と思われがちですが、ダニに近い生き物だと言われています。ちなみに、クモは頭部と腹部の二つに分かれていますが、ザトウムシは頭部と腹部の区別がなく、一体型です。


基本的に、肉食で小さな虫や死骸等を食べますが、残飯やスナック菓子なども食べるみたいです。何か一風変わった「森のお掃除屋さん」って感じです。


和名は盲人が杖で探りながら歩くのに似ていることに由来し、実際にザトウムシは明暗しか認識できず物を見ることができません。また、英語圏では「あしながおじさん(Daddy Longlegs)」と呼ばれ、屋久島ではジブリ映画の千と千尋に登場する「窯爺(かまじい)」に見立てて、親しく呼んだりしているガイドさんもいます。


ザトウムシが長い足を伸ばし、その豆粒の様な体を支えながら歩く様子は、まるでSF映画に出てくる宇宙探索マシーンのようで、地球から一気に未知の星にでも来た気分にさせてくれます。

'12/10/21update
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ツタウルシ

ツタウルシ

そろそろ山間部では紅葉が始まる季節となってきました。歩いていて目に付くきれいに紅葉した葉っぱ。【ツタウルシ】の葉っぱです。屋久島では、よく杉にからまって伸びているものを見かけます。


‘ツタに似たウルシ’という意味合いでツタウルシの名前が付いています。ウルシという名前が入っていますがウルシといえば=かぶれる木。
このツタウルシも触るとかぶれます。人に寄っては近付くだけでかぶれることもあるそうで、たまに切り株にも生えていて手の届く範囲にあるので要注意です。


若葉の時は切れ込みがあって不均一な形をしていますが、大きくなると切れ込みはなくなります。3枚ずつ葉っぱが並んでいるのが特徴的で今、赤く黄色く色づいているツル植物があればよく見るとすぐに見分けが付くと思います。


落ちている葉っぱを見ていると、左右対称のもの、左右大きさが違うものがあります。どの形がどこの位置に付いていたのか考えながら拾ってみると面白いですよ。

'09/10/10update
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クズ

クズ

屋久島で車を走らせていると目に映る8割方は緑色なのではないかと思います。中には電信柱や電線にまでつるを伸ばしぐるぐる巻きにしてしまっているものも見られます。そのひとつにクズがあります。


北海道から九州まで広く分布している植物なので皆さんも目にしたことがあるのではないでしょうか?葉っぱは長さ10~20センチと大きく、3つ切れ込みが入っています。そして7~9月に赤紫色の花を咲かせます。事務所の前でもぐるぐるとつるを伸ばし、先月まできれいな花をつけていました。


「クズ」という名前の由来は、大和の国の国栖(くず・今の奈良県吉野町)が葛粉の産地で京の都へ売りに行っていたからだそうです。


秋の七草として知られたり、葛粉として使われたり”葛根湯”として薬に用いたり、頑丈なつるは荷を束ねるのに使ったり、つるからは”葛布”を作ったり・・と古くから様々な方法で日本人の生活に深く関わってきた植物です。


きっとクズ以外にも様々な方法で利用出来る植物がたくさんありますね。どんな植物がそこにあるかを見ると、そこで生活する人々の暮らしが少し垣間見えるかもしれません。

08/10/26update
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キッコウハグマキッコウハグマ

ホソバハグマホソバハグマ

キッコウハグマ

花の少ない季節ですが小くてかわいい花が最近開き始めています。キク科の『キッコウハグマ』です。漢字にすると「亀甲白熊」。これで少しはイメージが沸くでしょうか?


亀甲(キッコウ)は葉っぱの形が亀の甲羅に似ているから。それでは白熊(ハグマ)は・・?白いから?・・正解はチベットにいる動物のヤクの尾で作られた旗竿に付けるハグマという飾りに似ているから、だそうです。ちょっとイメージするには難しいでしょうか。


長さ約1cmの花びらが15枚程並んでいます。その中央をよく見ると花柱(雌しべの一部分)は一つではなく三つあることが分かります。キッコウハグマの花は、タンポポみたいに3個の小さな花から成っているのです。花びらは白色で花柱は桃色です。


花がそっくりなホソバハグマ(キク科:屋久島固有種)もこの季節に咲きます。ホソバハグマは、キッコウハグマが沢沿いで適応した植物で、葉が流線型に変化し、水流に適応した形になっているおもしろい渓流沿い植物です。

'07/10/12update
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ヘツカリンドウ

ヘツカリンドウ

屋久島では、ようやく森の中が涼しくなってきた頃、ヘツカリンドウが控えめに咲いています。


このヘツカリンドウ、和名を「辺塚竜胆」といい、鹿児島県の地名「辺塚」の名前に由来します。鹿児島県が分布の北限で、南の島に分布する植物です。


花の黒い紋のような模様は、蜜線といって、そこから甘い蜜がでています。ここに蟻やハエが吸蜜にきます。
だんだん涼しくなってきたこの時期、咲いている花もほとんどなく、昆虫も少ない中での受粉対策ではないかと思っていますが、どうなのでしょう? 


このヘツカリンドウ、屋久島では花が黒紫色で、森の中でもなかなか目立たない存在ですが、屋久島産以外のものは花弁が黄色のものだそうです。


花のピークは過ぎましたが、縄文杉のルートのトロッコ道沿いに咲いています。
一体たくさんの縄文杉登山に行かれる方で、何名がこのヘツカリンドウの存在を確認しているのでしょうか。縄文杉に行かれる方は、途中、ぜひこの控えめな花を探してみて下さい。

'06/10/27update
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アオツリバナの実

アオツリバナの実

このところ、森の中を歩いていると小さな木の実をよく見かけます。
サルに食べられて無惨な姿になっているヤマボウシの実や、真っ赤になったナナカマドの実。紫色のハイノキの実や、サルの糞に入っているつぶつぶの種の正体、ヒサカキの実。
「食欲の秋」というのは、人間にとってだけではないようですね。


その中でも、思わず別名を付けたくなるような、かわいい実を付ける木があります。私が思い浮かべた別名は”森のイヤリング”。正式名称はアオツリバナといいます。6~7月に、枝に吊られるようにして、その先に濃い紫色の花をつけます。そして今、そのアオツリバナの実が、やはり枝から釣り糸を垂らすようにして付いています。実は、熟すとはじけて開き、その先にオレンジ色の種がくっつきます。日が経つと種は落ち、実の部分だけが残るのですが、まだ目をこらして探しているとオレンジ色の種がくっついた実を見つけることが出来ます。


・・あなたはどんな名前を思い浮かべますか?

'05/10/4update
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ヤクシマダイモンジソウヤクシマダイモンジソウ

ヤクシマダイモンジソウ

10月に入り高地では、ずいぶんと秋めいてきた屋久島ですが、標高1,000メートル、ヤクスギランドの荒川の渓流沿いにヤクシマダイモンジソウの群落がたくさんの花をつけています。


名前の由来は、見ての通り花の形が大の字に似ているからなのですが、屋久島のものは、葉や草丈が小さく屋久島の固有品種となっています。


回りを見ると沢沿いに適応したホソバハグマなどの植物も自生しているのですが、ヤクシマダイモンジソウはホソバハグマなどより自生ラインが高いのに気が付きます。


大雨が降ると濁流となる沢沿いでは、屋久島の自然に適応したヤクシマダイモンジソウでも生きていけないのでしょう。
渓流沿いの自然の厳しさを感じさせられました。

'02/10/08update
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ヤマボウシの果実

ヤマボウシの果実

屋久島の秋は、山頂から訪れます。


ヤクシマオナガカエデやマルバヤマシグレなどの落葉広葉樹の木々が、常緑樹の緑の中で赤や黄色に染まる風景は、とても綺麗です。


特に今年の秋はヤマボウシやアズキナシなどの実が豊作でいたるところにたわわに実っています。
その実を食べるヤクザルの姿もよく見かけますよ。

'01/10/28 update
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サキシマフヨウ

サキシマフヨウ

今、海岸線に屋久島の秋を告げるサキシマフヨウの花が花盛りです。


夏に咲くハイビスカスと同じアオイ科のなか間ですが、園芸種のハイビスカスと違ってサキシマフヨウには野生の趣を感じます。


この時期屋久島の里では、ミニチュアのアオイ科のなかまキンゴジカやオオバボンテンカなども観られます。

'01/10/22 update
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ナナカマド

ナナカマド

9月の末、標高1300?の淀川ではナナカマドの実が赤く色づき始めました。


ナナカマドは屋久島を南限とする落葉広葉樹ですが、ここのところすこし冷えてきた所為か真っ赤に色づいています。


屋久島も日一日と高所より秋めいてきます。
天気の良いシーズン、屋久島の秋を味わいにいらっしゃいませんか?

'01/10/2 update
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