屋久島自然情報_11月

屋久島は、とても自然のバリエーションの豊かなところです。
その自然の表情を折に触れてお伝えいたします。


ここ数年の月別屋久島自然情報がわかります。
屋久島へお越しの方は、来島月をクリックしてご参考になさってください。

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11月の自然情報

シマサルナシ

秋も深まり、だんだん肌寒くなってきました。この時期、島の西側に位置する西部林道を散策していると、見た目がキウイフルーツそっくりな実が時々落ちていています。

この実はシマサルナシといって、マタタビ科のつる性の植物でキウイフルーツに似た味でとても美味しいです。それもそのはず、同じマタタビ科のオニマタタビ(中国原産)がニュージーランドで品種改良されて世界中で食べられるようになったのがキウイフルーツなのです。

キウイフルーツのキウイとはニュージーランドに生息する飛べない鳥キーウィのことです。キウイフルーツの外観がこの鳥を思わせることからキウイフルーツという名前になったと言われています。

写真のシマサルナシは何か囓られたような痕がありますが、これはヤクザルが食べ残したシマサルナシです。まさに、島猿梨という名前だけあってヤクザルも大好物です。

サイズ的には、指の第二関節ぐらいの大きさなのでヤクザルにとっては食べやすい大きさになっています。是非、この時期に皆さんも西部林道を散策される際は足下にシマサルナシが落ちてないか探してみてください。

'14/11/20update

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オオキンカメムシ幼虫

オオキンカメムシ成虫

オオキンカメムシ

11月に入り、屋久島の山間部の紅葉もより一層鮮やかになって来ました。
先日、取材の仕事で西部林道を歩いていると、まるでテントウムシをメタリックグリーンに塗り替えたようなオオキンカメムシの幼虫に出会いました。


上の写真がオオキンカメムシの幼虫なのですが、脱皮を繰り返して成虫になると下の写真のように南国トロピカルなオレンジゴールドに驚くほど変化します。
個人的には幼虫の方が好みなので、「このまま成長が止まったらな。。」と考えたりもします。


これから、冬が近づくとツバキなどの照葉樹の葉裏に集まって集団越冬するのですが、その姿はまるで金のブローチが葉っぱに沢山付いているようです。ちょっと、言い過ぎましたが、、きっとカメムシ嫌いな人でも印象が変わるはずです。


オオキンカメムシは屋久島以外に、本州から南西諸島にかけて生息しています。これからのシーズン、皆さんが住んでいる辺りでも集団になったオオキンカメムシが見れるかもしれませんね。

'13/11/17update

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オオカラスウリ1

オオカラスウリ2

オオカラスウリ

最近、道路を走っていると丸々としたオレンジ色の美味しそうな実を見掛けます。見た目はつるっとしたかんじで、とても美味しそうに見えますが、割ってみると・・・どろっとした黒紫色のものが・・・!食べようという心意気は一瞬にしてなくなってしまいました。


熱帯~亜熱帯に分布する多年草のつる植物で【オオカラスウリ】といいます。屋久島では低地~標高300mで見られます。8~9月の夏場に白い花が咲きますが、開花は夜だけで朝方にはしぼんでしまうので、意識していないとなかなかお目にかかれません。


花は真っ白で花びらの先はレースのような繊細な形です。真っ暗な夜、花粉を運んでくれる”ガ”に目立たせる為に色が真っ白なのです。そして、人間にもわかるくらいの甘い匂いを発散するそうです。


車を運転していたら、たまにぶら~りと下がっている果実が見えます。「この中身が黒色だなんてホントッ?!」と確認してみてくださいね。

'09/11/19update

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マムシグサ

マムシグサ

この名前からどんな草を思い浮かべますか?名前の由来は、「茎の模様が毒へびのマムシの柄に似ているから」というところからきています。5月頃、花を咲かすのですが、「花の形がマムシの鎌首をもたげる姿に似ているから」とも言われます。


サトイモの仲間で、地中に芋(球茎)を付けるのですが、その芋の大きさ、栄養状態によって性転換するという、とても珍しい植物です。花が咲き終わると、次第に実を付け始めるのですが、始めは緑色、そして秋になると上の部分から赤く色づいてきます。


真っ赤な実を付けたマムシグサは、森の中で目を引きます。時々、生長の途中で枯れてしまって、果実の部分が下に垂れ、おじぎをしているような姿のマムシグサも見られます。


一見、おどろおどろしいかんじもしますが、この変わった植物、見かけたらぜひ観察してみてください。

'06/11/21update
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秋の木の実1

秋の木の実2

秋の木の実

今年はシャクナゲが10年ぶりの当たり年だったように、他の樹々も花をたくさんつけた春・夏でした。
季節は巡って、たくさんの花々は結実し、屋久島では実りの秋になっています。


照葉樹林内では、ドングリが実りの時期を迎えています。
ドングリをつける樹々は、シイ・カシなどですが、ひとえにドングリといっても、様々な種類があります。
スダジイは、殻に囲まれて独特な風体をしています。生で食べてもほのかに甘く、炒れば香ばしくておいしいです。
マテバシイは渋みがなく、炒ったり茹でたりして食べることができます。ウラジロガシは、渋いのでアク抜きをして食べます。
縄文人の主食はこのドングリでした。農業が始まってからも、飢饉のときの救荒食だったのです。


森に暮す動物たちにとっても、今年のドングリの豊作には大万歳なのではないでしょうか。


一方、山頂付近では、様々な樹々が実をつけています。
ヤマボウシの赤い実は、1センチ大のごつごつした独特な実ですが、食べれば甘くおいしいです。その他、ヒメヒサカキの黒紫色の実、タンナサワフタギの藍黒色の実、サルトリイバラの朱赤色の実など、色とりどりで綺麗です。


最近、サルの糞がずいぶん青っぽくなっているのは、上に挙げたような青色系統の実を食べているからなのですね。


ヒトも動物も実りの秋を満喫している屋久島でした。

'05/11/1update
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紅葉の季節

紅葉の季節

食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋。いろんな楽しみ方のある秋。あなたはどんな時に「秋」を感じますか?亜熱帯に位置する屋久島では、奥山の緑の中に黄色や赤色が混じり出す頃、秋だなあと感じます。
これから始まる冬に向けて、厳しい寒さや乾燥から身を守るため、落葉の木々が葉を落として休眠する準備を始めているのです。


葉は、緑の色素クロロフィルがたくさん詰まっているため、緑色に見えます。ところが、クロロフィルの寿命がきて活動が鈍ると、分解され冬芽や根にリサイクルされます。そして、元々葉に含まれる黄色の色素カロチノイドが目立ち始めたり、リサイクルされずに残った糖分から赤い色素アントシアンが作られます。
このようにして葉は、次第に黄色や赤色へ変わっていくのです。


真っ赤な葉、赤や黄があわさった葉、虫に食べられて模様ができている葉。様々な色や形の葉を集めてみると、一味違った秋 が楽しめるかもしれません。

'03/11/8update
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思わぬ初雪

思わぬ初雪

今月の始めに紅葉のことを書いたばかりでしたが、もう初雪のお知らせとなりました。


例年、12月に入って山頂付近で初雪を見る屋久島ですが、今年は、一ヶ月以上早い 降雪です。
この時期、秋の登山ツアーが多く企画されるのですが、思わぬ初雪に登山客もビックリされていました。まさに、里はハイビスカス、山は雪といった風景が見られます。


パノラマトレッキングをされる方は、くれぐれも気象予報には、注意してお出かけ下さい。
長期予報では、12月に入ると逆に暖かくなるという予報が出ていますが、どうなりますことやら?!

'02/11/18update
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コハウチワカエデコハウチワカエデの紅葉

コハウチワカエデ

このところ、急に冷え込んできた屋久島ですが、例年より少し早くヤクスギの森でも、コハウチワカエデ等の落葉樹の紅葉がきれいです。


ヤクスギの森は、常緑の木々に覆われているので全山が赤や黄色になることはありません。
しかし、そんな常緑樹や屋久島らしい苔のみどりの中に赤や黄色の紅葉を観るのも素敵です。


落葉樹は、森が壊れると出てくるパイオニア植物(先駆植物)と言われています。落葉樹の種は、暗い森の中で長い年月(数年から30年程)土の中で眠っていて、森が壊れ明るい陽の当たる場所ができるといち早く発芽して大きくなります。
ですから、ヤクスギの森で紅葉のきれいな木々がたくさん生えているような場所は、昔何かの原因で森が壊れた場所なのですね。
紅葉を観ながら森の移り変わりに思いを馳せるのも良いものですよ。

'02/11/03update
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