屋久島自然情報_3月

屋久島は、とても自然のバリエーションの豊かなところです。
その自然の表情を折に触れてお伝えいたします。


ここ数年の月別屋久島自然情報がわかります。
屋久島へお越しの方は、来島月をクリックしてご参考になさってください。

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3月の自然情報

クロキ

クロキ

3月に入り、里では本土よりも早く桜が満開を迎え、モクレンやアオモジの花も色鮮やかに咲き乱れています。今回ご紹介するクロキの花は一見地味ですが、枝先にびっしりついた白い花からは淡い香りが漂ってきます。


クロキは、その名の通り樹皮が黒褐色で黒っぽいところから、この和名が定着しました。日本では関東以西から南西諸島まで分布しており、屋久島では普段からお墓などにクロキをお供え物として利用しています。


クロキの花は今時期から4月辺りまで咲いていますので、是非ご覧になってください。あまり派手ではありませんが、香り同様に私たちに淡く優しい印象を与えてくれます。

'12/3/18update
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スモモ

スモモ

寒さが和らぎ少し暖かくなってきて、冬の終わりと春の始まりを味わいながらゆっくり農道をドライブしていると、ひときわ鮮やかな白が目にとびこんできます。スモモです。白く小さい花を枝いっぱいに咲かせている姿は、いのちそのものがぷちぷちはじけているようで本当に心が躍ります。


バラ科というとリンゴ、ナシ、アンズ、サクランボなど名だたるおいしい果物の名前がズラリと登場します。屋久島にあるスモモは酸味が強いものが多いです。でも、その酸っぱさが加工するのに適していて、熱を加えるととてもおいしいジャムができます。程よく残った酸味と熱によって引き出された甘みのハーモニーが絶妙です。


また、果実酒にしてもとてもおいしいので、スモモ酒は屋久島の家庭で今でも盛んに作られています。夏に実った果実をお酒に漬ければ、その翌年、枝いっぱいに咲かせた白い花を見ながら、スモモ酒を頂く…なんてこともできてしまいます。


なにかと心躍るこの季節を様々なかたちで楽しませてくれる本当に美味しい樹木です。

'11/3/7update
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ヤマザクラ1

ヤマザクラ2

ヤマザクラ

県道沿いに咲いていたソメイヨシノも、ここのところの雨ですっかり散ってしまいましたが、代わりに里から見える前岳の山肌には山桜がチラホラと見え始めました。


今ではサクラと言えばソメイヨシノを指す事が多いですが、古くはサクラというと山桜の事でした。日本の野生のサクラの代表種で、和歌にも数多く詠まれています。有名な吉野のサクラも山桜です。


葉よりも花が先に展開するソメイヨシノとは異なり、山桜は葉と花が同時に展開します。
葉っぱが赤紫から褐色、黄緑、緑へと変化していくその彩りの様子も、とても趣きがあります。


山桜もこれからだんだん標高の高い所へ前線を進め、縄文杉や白谷雲水峡など主な登山道から山肌に咲く様子が見られると思います。


常緑樹がほとんどを占める屋久島の森では、木が伐採されたり、自然倒木などで森が壊れた後、真っ先に生えて来るのがサクラやモミジなどの落葉樹です。


その後だんだんと森が成熟して木々が鬱蒼としてくると、日光をたくさん必要とするサクラなどは姿を消して行きます。


山桜が咲いているのを見かけたら、森の移り変わりを感じてみて下さいね。

'10/3/8update
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オオゴカヨウオウレン

オオゴカヨウオウレン

苔が生えている中を目をこらしてよく見ると小さな花が咲いています。オオゴカヨウオウレンです。屋久島の固有種で標高400m~1000m辺りで2~3月頃に見られます。


「バイカオウレン(別名ゴカヨウオウレン)」に似て梅の花のような白い花を咲かせます。そして「黄連(おうれん)」という名前からも分かるように黄色味がかった根茎は胃腸薬として漢方にも使われます。


ぱっと見ると白い花びらに黄色い雄しべ・・・と思いがちですがよく見てください。中央に緑色の雌しべ、その周りに白い雄しべがあります。あれ?それではその周りにある黄色の丸い物は・・?


この黄色い物はとっても小さいですが実はこれは花びらです。そして花びらに見える白い物の正体は実は顎(がく)なのです。


ぱっと見た印象とは違う何かが隠されている植物はたくさんあります。(花びらと思ったら顎だった!花びらと思ったら葉っぱだった!etc・・・)一度思い込みを取っ払って観察してみてください。

'08/3/5update
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イワタイゲキ

イワタイゲキ

数日前、島の東南に位置する春田浜へ行くと黄色い花が風に揺られていました。海岸の岩場に生えるイワタイゲキです。


同じ仲間でトウタカトウダイという植物があるのですが、中国では「大戟(たいげき)」と呼ばれています。「岩場に生える大戟」というところから、イワタイゲキと名付けられたそうです。


近付いて花の中を覗いてみると、中央には小さな黄色い花が咲いていました。そして、さらにその周りには数枚の花びらのようなものがあったのですが、その中には緑色から黄色へ変わっている途中のものがありました。


これは、花びらではなく苞葉(ほうよう)といって花が小さな蕾の時に保護する部分です。冬によく見かけるポインセチアの真っ赤な部分や尾瀬で有名なミズバショウの白い部分も同じ苞葉です。


遠くから見るのと近くで見るのとではそれぞれ違った見え方が出来そうです。腰を下ろしてじっくりと花を覗いてみてください。

'07/3/10update
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ヤマモモ

オナガカエデ

芽吹きの


3月に入り、気付くと山の色合いがすっかり春の色合いに変わってきています。濃い緑色の木々の合間に、新芽の色鮮やかな緑色や、ヤマザクラの桃色などがぽつぽつと見える様子は、いつ見ても心躍るかんじがします。


山の中を歩いていても新芽を近くで目にするのですが、そうすると緑色だけではなく、淡い緑色、黄色、オレンジ、赤、紫など、様々な色の新芽があることに気付きます。葉の色は、葉に含まれる色素や、葉の表面に存在するワックスによるものといわれています。成長した葉っぱには、クロロフィル(緑色の色素)が多く蓄積されているので、カロチノイド(黄色やオレンジ色の色素)やアントシアニン(赤や紫色の色素)の色は目立ちません。でも、新芽にはクロロフィルが少ないので、カロチノイドやアントシアニンが目立って、赤色や紫色に見える葉っぱがあるのです。


また、色素は様々な障害から身を守る防御作用があります。例えば、アントシアニンは有害な紫外線を吸収する為、紫外線による損傷を受けやすい葉の内部にまで紫外線が到達するのを防いでいると推定されています。新芽に様々な色があるのは、まだ葉緑体が十分に発達していない新芽を、そういった障害から守る役割をしているのですね。


生まれたての赤ちゃんを、すぐそばで見守りながら支えているのは、人間や動物たちだけでなく、植物も同じようです。

'06/3/18update
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リュウキュウイチゴリュウキュウイチゴ

リュウキュウイチゴ


今年はもう3月中旬になるというのに、屋久島の山にはまだ雪が残っています。積雪や凍結で林道が通行止めになることも、3月に入ってから数回ありました。


でもそんな中、今度こそ本当に春の訪れがやってきたようです。県道を走っていると、道端に白い花が揺れています。


3月頃花を咲かせるオオバライチゴとリュウキュウイチゴです。どちらも白い花で良く似ています。5月頃になると、楽しい果実の季節。どちらも小さないちごをつけます。リュウキュウイチゴは橙黄色、オオバライチゴは赤色に熟します。オオバライチゴには鋭い刺がたくさんついていますが、こちらの方が甘く、リュウキュウイチゴは、香りが高いようです。


車を止めて、ちょっと味見をしてみるのもきっと楽しいでしょう。果実の季節を楽しみにしつつ、まずは小さな春の訪れを楽しんでみて下さい。

'05/03/17update
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ヤクシマオナガカエデヤクシマオナガカエデ

ヤクシマオナガカエデ

今年も私の大好きな新緑の季節を迎えました。
毎年、この季節になるとウキウキするのは生きている証なのでしょうか。


今月の初め頃から里のタブノキなどの常緑の木々の新芽が芽吹き始め、来月にかけて屋久島を覆っている植物達の生き生きとした活動の季節を迎えます。
照葉樹林の森が壊れた安房林道沿いには、写真のような落葉樹(ヤクシマオナガカエデ)の新緑を楽しむことができます。よく観察すると同じ木の新葉でも緑のもあれば赤っぽいのもあります。なぜだかわかりますか?

'02/3/15 update
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ウィルソン株

前日の寒波の影響で思わぬ雪景色になってしまいました。


新潟から来られたリピーターの女性お二人との縄文杉一泊二日のキャンプだったのですが、お二人とも雪は見慣れてらっしゃるにもかかわらず屋久島での思わぬ雪に大はしゃぎでした。

'01/3/11 update
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